2010年3月31日水曜日

エゾモモンガを探して。<その2>

エゾモモンガ(蝦夷小鼯鼠、Pteromys volans orii)

月曜にのぞいてくれた方ごめんね。月曜にアップしてないときは
「ちゃんと仕事してるのね」とご安心ください。さて、

この記事のつづきです。
「さむいなら よりそいあえばいいだけなのに とエゾモモンガ」
生きてエサ食べて繁殖ってことだけ考えているよな小動物に
なんでこんなエラソーなこと言われなあかんのか?

それはエゾモモンガの暮らし方に「ほへー」っと思ったから。

樹洞の中で暮らすモモンガ。
アカゲラなんかのキツツキがあけた穴の中をガジガジ削って
さらに広げ、ふかふかのコケをしいて寒い冬を乗り切ります。
冬眠はしないけど、食事や排泄の時間以外はたいてい穴の中で
過ごしてる。
室温は22度くらい。うちの事務所よりあたたかいかもしれない。


で、モモンガ一家はその樹洞でぬくぬく身を寄せ合うのだけど、
今回同行させてもらった
モモンガ先生こと写真家の小原聡さんによると、
どうやら家族だけじゃないらしいのです。

モモンガの子育ては母親の役目。オスは交尾後いなくなるみたい。
……今、なんか書こうかと思ったけど、ここではやめておきましょう。
ふつう、メスだけの子育ての場合、他の個体に対して
警戒心が強くなります。
が、エゾモモンガママは自分たちの樹洞に他の個体が入ってきても
わりと受け入れちゃうんだそうです。
なぜなら、樹洞の数ってそんなに多くないでしょ。
住むところがなければ、みんなで身を寄せ合えばいいのさ!
的な理由で受け入れているんだって。

隣人愛。って思いたいけど、本能で自分らの種を守っているのかしらね。
単に「あったかい」ってことだけかもしれないけど。


さて、栗山町で行われた、
我らが「エゾモモンガさがし隊」(そんな集まりではなかったか)の
モモンガ探しはどうなったでしょう?
ちょっと前に
同業で同行のナカイさんがこの模様をアップしてくれてます
さすが似てるな、ワタシ似顔絵。
んで、そっち見てね〜!で終わらしてもいいのですが、
ワタシの方もリポートしましょう。
併せて見るとオモシロイですわよ。






ナカイさんのふるさと、栗山の町

当日のリポート。エゾモモンガの探し方は「もっと読む」を
クリック願います。力作。


さっそく前回のリポートの修正なんだけど
「ふれあいプラザ」は旧称で、現在は
「くりやま自然情報館」とのご指摘が親善大使(仮)から。
サイトだと両方の名前使ってるみたいですな。

んで、そのスタッフの方々とモモンガ先生、札幌から来た
イラストレーター二人がスノーシューで栗山公園裏の御大師山へ。
御大師山に登るのは子供以来かも、という中井さん。
思い出を見つめているの?(とか、それっぽいキャプションつけてみる)

以下、モモンガ先生によるエゾモモンガの探し方です。

●まずはエゾモモンガが好む木を見つける

ハルニレやハンノキの芽を好むのでその木を見つけよう。






ハルニレの幹。







そして枝先。 
ブレアウィッチみたいな写真だ。



ヤチハンノキの枝。






ヤチハンノキの芽。







そうか、木に住む生き物を見つけるには木を覚えないとダメなんだ。
花はまだわかっても冬の樹木はむずかしいぞ。

モモンガは明け方や夕方に木の芽なんかのエサを探しに
巣穴から出て来て食べ、そして用を足す。

●食痕を探そう

小枝を折り、芽の中身だけ食べるのでその残骸は木の下へ。
食事のあとは好物の木の下に小枝や芽の皮、そしてフンがたくさん
落ちています。
その食痕を見つけることができたら、
そこから周囲100mくらいの範囲にある樹洞に
棲んでいるらしいのです。

食痕を探せ!
隊員たち(スタッフの方々)は銘々に木の幹から幹へと散らばります。
ええと、あんまり役に立たないワタシらは
その様子をひたすら観察してました。


モモンガ先生(写真)にひたすらついていき、道すがら質問をしまくったワタシたち。





そして散らばる隊員。
スタッフのみなさんは自然のエキスパートなので
木々の見るポイントなんかわかってらっしゃる。
鳥の声を聞いて「ウソだな」とすぐにわかる。




ついに食痕が見つかる!
スノーシューで雪山を駆け下り「ありましたよーーー!」と
叫ぶモモンガ先生。
小動物探すのに大声でいいのか?と思ったけど
もとから隠れてるモモンガなので支障はないのでしょう。
やった。見つかるかも。

わかりづらいので挿絵つけました。ただ落ちている小枝との違いはこの45度の
切り口。ゲッ歯目がスパッとかみ切っている痕です。
しかも枯れて落ちたわけじゃないので、切り口の断面を見ると
まだ青々としています。
実際の食痕小枝の写真はナカイさんブログの方に載ってます。

●巣穴さがし
彼らが好む穴は、クマゲラだとちょっと大きく、アカゲラがあけたくらいの
3〜5cmの穴が理想。
モモンガは男性のこぶしくらいの大きさだけど頭が通る大きさなら
いいんだね。猫と同じ。
あと、朽ちた木の方が中を広げやすいのでよりいい。



いい穴。


 ここにもいそう。











 これはキノコ。

 これは北の国からっぽいイメージ。あのBGMが流れるなあ。
小雪が舞ったり、青空がのぞいたりする、移り気なお天気でした。 

とまあ、探索しましたが今回はそれらしき穴は見つからず。
モモンガ先生によると「いるはずなんだけどなあ」。
考えられるのは、
「移動中に立ち寄っただけ」
ってこと。本気の食事ならもっと食痕やフンが落ちてるのだとか。

あと、捕食者フクロウがいると現れない。
この森にはフクロウもいそうなので家移りしたのかな。

というわけで、夜行性のモモンガをなぜ昼に探しにいったのかと
いうと、食痕など見つけ方を教えてもらうためでした。
巣がわかれば、あとは出てくる時間帯(夜明け、夕暮れの各一時間ほど)
に張っていれば確率高し。

春は間近。雪がとけるとモモンガ出没時間は増えるが、食痕は見つけづらく
なる。今年はフクロウを見つけたいと思ってますが、
エゾモモンガ欲も高まりました。
でもね、
円山動物園の解説を読むとさ、
「確認するにはかなりの忍耐と根性が必要です」
ですって。あるかしら、忍耐と根性。

道内に生息するリスの仲間、エゾモモンガ。
本州のニホンモモンガは日本の固有種だけど、
エゾはユーラシア大陸に分布するタイリクモモンガの亜種。
同じモモンガだけど、
これも津軽海峡のブラキストンラインで別れる
別系統。

いやあ、これだけ引っ張ってモモンガ出さないのも
アレなので

円山のモモンガを撮ってきました。写真ちいさい?

アップで。

長くなりついでにもうひとつお話を。
ニホンモモンガ(日本模模具和、Pteromys momonga)の学名はmomonga
のまんまなのに、なぜエゾにはoriiとついているのか?
これ、大正10年に林の中で折居彪次郎さんが、ハンカチみたいな
生き物を発見。哺乳類専門家の黒田長礼博士が折居さんにちなんで
名付けた…らしいのです。
ポケットからこんなハンカチ出してみたい。シガイだとキツイか。
しかし漢字名、模模具和て。ももぐわーって。


帰り道。マオイの丘の方でお茶してきました。
また行きましょう、ナカイさん。どうもありがとう。

エトブン社では、このように生き物探し&ハンティングに同行取材させて
くれる方を探しています(緊張しいでビビリで少しコカンセツ弱いけど
がんばります。助手席で寝ません!)。

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